ごちゃごちゃした私と梅田
共同生活、困難極める。
大阪のシェアハウスに引っ越して数日が経つが、未だに住民たちの名前も顔もロクに覚えていない。
相変わらず共有ルームには気楽に顔を出せずにいる。
別に他の人たちを毛嫌いしているわけでは毛頭ない。
しかし私の人見知りは根強く心の奥に染みついているため、それが抜け落ちるまではなんとも気が抜けない日々となる。
安住の地である個室でこれを書く。
今日は昼間から梅田に行くことにした。
買い物目的ではあるが、せっかく御堂筋線の定期券を買ったので使いたくなったのが本音だ。百円ショップや本屋に色々買うものがあった。そして上記の通り、このまま部屋にいても住人たちとの過剰な思い過ごしによる気まずさに神経も疲れるだろうことで、休日を謳歌するための外出でもあった。
緊急事態宣言は相変わらず解除されていないが、一応不要ではないので出かけることにした。
家を出る前は梅田なんて距離があって、そんな手軽に行ってられないところではあったのが、引っ越してからすんなりと行けるようになったことが最近の中での一番の感動であった。
ごちゃごちゃしていて、人混みに塗れるとすぐに迷子になりそうなエリアが、自分にとって興味を掻き立てる要素となっていた。
色々歩き回っているだけで飽きない、自分にとっての落ち着く場所でもあった。
買い物ついでに昼飯のオムライスを食べ、夕方ぐらいに帰った。
帰ってくるとシェアハウス管理者のIさんが個室の鍵の手配をしてくれたようで、今日からようやく、私の個室には鍵がかけられるようになった。
今まで業者の関係で、私の個室は前の住人の時のまま鍵が変更されていなかったのだ。
私が急遽としてこのシェアハウスに入居したことが関係している。
まあ特に大事なものは身につけてあるので、そこまでセキュリティにこだわりはなかったが、これでひとまず安心といえばそうとなる。
鍵は小さいものなのでなくしてしまいそうなのが懸念だが。
私はよく物をなくす。
スマホや財布、車の鍵など、すぐにごちゃごちゃした部屋の中に紛れ込ませて、あれそういえばどうしたっけ?と毎度のことながら悩んでいる。
そのくせ治すこともなく今日までを生きてきた者である。
Sさんが私のことを、頭いいけれどバカだよね、と言い放った理由の一つがこの要素と因果しているようにも思える。
このごちゃごちゃしたものに抵抗がないのも、かなりの厄介者で、しかしそれをよくわからないアドリブめいた行いで乗り越えてしまっているのが、自分の強みではあったりする。
計画を立てたり、打算したり、先読みしたり、そんなものもその場その場では考えていけるものの、ひたすらに落ち着いた場面から計算して、窮地に陥らないようにと保険をかけるのが下手だったりする。
ようするに混沌が好きなのである。
平穏もまた好きであるが、それはまた別の話になる。
だから今の日常は、混沌も平穏もどちらもそれなりに手にいれられそうなので、期待値は上がりつつも、それでもやはり共有ルームには顔を出しづらい。
私はホントに人見知りだ。