放浪記

何気ないようで、やっぱり何気ない。そんな日常を綴っていきます。

人見知りの壁

 

ベランダからはひたすらに大通りを突っ切る車の音が一日中聞こえてくる。
そして私の部屋を出てすぐの共有ルームでは、夜に近づくにつれ誰かしらの会話とか笑い声が絶え間なく聞こてくる。
今日は節分パーティーという、みんなで太巻きを食べようというイベントと、あとついでに私が入居したことのお祝いも兼ねた夜の準備がなされているわけで、その輪の中に入ろうにも自室から出るのを戸惑うほどに、すでに構築されたコミュニティに入るのはなかなかに難しかったりする。
逆にまだグループとか空気感とかが構築されていない、初対面たちの集まりとかの方がまだ自分をさらけ出すことが楽であったりする。
要するに空気読みすぎて仇となっている。
面倒くさいまどろっこしい性格であることは百も承知で、それでいてなかなか地団駄踏めども変わりやしない。
お腹が空いた。
コンビニ行きたい。
でもなんとなく共有ルームを通るのが億劫だ。唐揚げが食べたくて仕方がない。
あゝ、私はどうしてこういう生き物でしかないのだろうか。常日頃から贅沢ともとれる悩みのタネを一生懸命に振り撒き、育て、思考の方向性を誤ったまま突き進んでいく。大したことないものもどんどんと育っていく。
そんなものはただの雑草でしかないはずなのに、育てた苦労が忘れられないのか、捨てられない自分の内面が頑として保ち続けている。


時は経つ。


あれから、とりあえず自室を出て、なんやかんや料理の手伝いなんかをしながら少しずつ会話もして、それなりに窮屈な思いはなくなったと思う。
なんとなくみんなの顔ぶれも見ることができただけで、今日は上出来だろう。
節分にちなんでみんなで作った恵方巻を食べた。
ご存知の通り、恵方巻は毎年特定の方角を向きながら無言で巻き寿司をむさぼり食うという誰が考えたのか分からない恒例行事があるのだが、私は人生でおそらく初めてその行事に参加した。
こういった季節物にちなんだものを忠実にやる人生もまた悪くないと思った。
食後にコーヒーとチーズケーキを食べた。
ほんの少しだけどみんなと話した。
これから少しずつ打ち解けられたらと思う。
明日は早いので、もう寝る。
おやすみー。

 

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